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名古屋相続税相談所

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相続の豆知識
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相続税

高齢化と労働人口の減少予測により、「事業承継」という言葉をよく耳にします。事業承継には事業そのものの承継もさることながら、財産も承継していかなくてはなりません。その中で特に「自社株式」という財産は相続において遺産分割や相続税の支払いにおいて大きな壁となる場合があります。

そこで今回は「自社株式の評価引き下げ」をテーマに相続税における問題点とその解決の糸口について見ていきます。

なぜ評価引き下げが必要なのか?

現在では中小企業の数は国内企業の90%を超えるとされていますが、そのほとんどはオーナー型企業(株主=経営者)といってもいいでしょう。このようなオーナー型企業は事業が好調になればなるほど自社株の価額が高額となる一方で、非上場株式であることから流通性に乏しく、上場株式のように売却して現金化することがとても困難です。

その一方で、いざ相続が発生すると自社株式は相続財産を構成してしまいます。相続税は現金納付が大原則です。自社株式のように現金化が困難でかつ高額な財産を相続した相続人は途端に相続税の納税資金に窮してしまいます。だからこそ、自社株式の評価を引き下げて、現金化困難な財産を極力小さくすることが特に相続税という観点からはとても重大な課題となってきます。

今回はその評価引き下げの具体的な手法にも触れますが、その前にそもそもの自社株式の評価方法についてその概要を見ていきましょう。ザクッとでも良いのでイメージをつかんでください。

自社株式の評価方法

非上場株式は「取引相場のない株式」として相続税法の財産評価基本通達(評価マニュアルのようなものです)にその評価方法が規定されています。詳しくは後述しますが、自社株式には取引価格がないことから、類似の業種の上場株式と価格を比較する方法や、個人事業者とのバランスを考え、自社の資産状況を参考に求める方法により評価することとなっています。

客観的な時価が存在しないため複数の評価方式を採用することによって、客観的な時価に近づけようという考え方が根底にあります。

具体的な評価方法とは?

自社株式を評価するにあたっては、

  • その会社はどのような業種で、どのくらいの規模か?
  • その会社の資産構成はどのようになっているか?

などを検討して、評価方式と評価額が決まります。
具体的な評価方法としては、

・類似業種比準方式(自社と同じような業種の上場株式と比べると、どのくらいの株価になるか)
・純資産価額方式(自社が保有する資産や負債を基に評価すると、どのくらいの株価になるか)
・類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式

の3種類の評価方式があり、このうちどれか1つの評価方式により評価します。

どの評価方式で評価するの?

前項で3種類の評価方法を紹介しましたが、では自社株式はいったいどの評価方式によるのでしょうか?そのポイントは自社の会社規模により決定されます。会社規模は①売上高②総資産価額、③従業員数により、会社を「大会社」、「中会社」、「小会社」のいずれかに判定します。そしてそれぞれの会社規模に応じて次のように評価方式が決定されます。

◆大会社・・・上場会社に匹敵するような規模を有するとみなして、同一業種の上場会社の株価等を基に評価する「類似業種比準方式」で評価します。

◆小会社・・・個人事業と変わらない規模であるため、上場会社の株価等は考慮せず、自社の資産負債のみを基に評価する「純資産価額方式」で評価します。

◆中会社・・・「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式」により評価します。併用といっても、中会社には3段階の規模があり、その規模により類似業種比準方式の併用割合が規模が大きいほど高くなります。

ちなみに従業員が70人以上であれば必ず「大会社」となります。70人未満の会社については、業種ごとに売上高・総資産額に応じて判定されます。

参考URL:国税庁資料

自社株式の評価額の引き下げの具体例

自社株式の評価方法についての概要を見てきたところで、いよいよ評価額の引き下げについて具体的な例を見ていきましょう。それぞれの会社の経営環境により向き・不向きはあると思いますが、一般的な方法について見ていきます。

事業規模の拡大・事業種目の変更

事業規模の拡大

内部留保が多い優良な中小企業では一般的に株価が類似業種比準方式より純資産価額方式の方が高くなる場合が多くなります。会社規模を大きくすることで類似業種比準方式の割合を高めることができ、自社株式の評価引き下げが見込めます。

事業規模の拡大には従業員、総資産、売上、いずれかの増加が必要となりますが、借入等を行い新規事業に投資する方法などでも総資産の増加につながります。70人にあと少しという会社であれば正社員1人雇用するより複数のパート社員を雇用して70人以上にする方法なども考えられます。

事業種目の変更

複数の事業種目を営んでいる場合、類似業種は、主たる事業(売上の50%を超える事業)となるため、類似業種比準価額が低い業種に移行することが可能であれば評価額を引き下げることが出来ます。

ただし、事業規模の拡大や事業種目の変更などはその後の会社の経営に大きくかかわるものです。いくら相続税が安くなっても経営が傾いては本末転倒です。現在の事業を見直し、経営を革新することで自社株式の評価額も下がるのであれば一石二鳥です。検討の余地は十分にあるでしょう。

不良債権等の整理

類似業種比準方式での株価の計算においては、①配当金額、②利益金額、③純資産価額がその計算要素となります。

株価を引き下げる有効な方法として、不良債権の処分や値下がり不動産の売却などを行えば、前述の3要素のいずれかが下がることとなり、結果として株価の引下げにつながります。

不良債権の処分

売掛金や未収入金の明細を眺めてみてください。その中で長期にわたり回収が出来ていない債権はないでしょうか?税法上の要件はありますが、そのような不良債権を貸倒損失として処分できれば利益金額や純資産額が減少し、株価の引下げも可能となります。また不良在庫は無いでしょうか?

明らかに原価割れしているような在庫があれば見切価格で処分するか廃棄することで株価の引下げが可能となります。

値下がり不動産・有価証券などの売却

自社が保有する不動産や有価証券などで購入価額よりも値下がりして含み損が生じている場合には、売却して譲渡損失を計上し利益を下げます。

類似業種比準方式の場合、自社と類似業種会社の配当、利益、純資産の金額を比較して株価を計算します。含み損のある資産を売却すれば含み損が損失として実現し自社の利益が下がりますから相対的に類似業種比準方式での評価額を下げることが可能となります。

少々難しい論点ですが、要は不良な資産、含み損を抱えている資産については売却や処分をすることで損失が確定し、株価引き下げ効果があることを覚えておいてください。

役員退職金の支給

役員に対する退職金は支給金額が多額になる場合があり、株価引き下げに大きな効果があります。

株価引き下げを考えるということは事業承継を考えるからこそでしょう。現在の社長が代表取締役を辞任、取締役会長となり、後継者が代表取締役社長に就任すれば、一定の要件をもとに先代社長に退職金の支給が可能となります。大きな費用が計上出来る上に、預貯金など会社の資産も減少しますから類似業種比準方式、純資産価額ともに株価を大きく引き下げることが可能です。

ただし注意点もあります。役員退職金は法人税調査において否認されるケースもあります。否認されて会社の経費とならなければ株価も下がりません。会社の経費となってこそ株価が下がりますので要注意です。

特に分掌変更といいまして、現在の社長が会長になる場合など退職金の是非については税務調査での重要論点です。会長になって出勤日が少なくなった、給料が社長時代の50%以下になったなど、実質的に退職したのと同様の事情がないと退職金そのものが認められないので、税理士などによく相談した上で決定するようにしましょう。

さいごに~生前贈与もミックスしましょう~

さて、今まで自社株式の評価引き下げとして株式の評価方法や具体的な株価引き下げ方法など見てきました。具
体的な株価引き下げ方法はもちろん全て株価引き下げには効果があり、特に不良資産の処分等は財務体質改善にも役立ちます。しかし優良会社であればあるほどそもそもの株価が高いため、まだまだ引き下げ足りない場合もあります。

そこで株価引き下げも施しつつ、生前贈与もあわせて行っていけば自社株式をそもそも相続財産から減らしていくことが可能となります。通常の暦年贈与であれば110万円までは非課税ですし、退職金の支給後など株価が大きく下がった直後であれば相続時精算課税という制度を使えば2,500万円まで無税で贈与が可能です。

暦年贈与では不可能なダイナミックな贈与の可能性が出てきます。(ただし、相続時精算課税の場合は相続の際に贈与した時の価格で相続財産に加算されます。しかし、価格が贈与した時の低い価格で相続税を計算できるため節税効果は見込めます。)

さらに、「事業承継税制」というものも存在します。クリアすべき要件や手続きなどハードルはありますが、自社株式について相続・贈与があった場合、贈与税や相続税の納税を猶予したり免除したりする制度があります。

特に今後10年間に限り要件や手続きのハードルを低くし事業承継のネックとなる相続税や贈与税の猶予・免除が受けやすくなっています。株価引き下げ手法を少しずつでも実施しつつ、贈与もあわせて行うことでより効果の大きい事業承継が可能になります。

相続税・事業承継については複雑な論点がたくさんありますので、詳しくはお問合せください。

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