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養子は相続財産をもらう権利はあるの?
養子縁組で、相続税は節税になるの?
孫養子って相続対策になるときいたけれど、どんな仕組み?
この記事では、養子と相続税の関係について、詳しく解説します。
この記事でわかること
- 養子の種類
- 養子は、相続人になるのかどうか
- 養子は、相続財産をもらう権利があるかどうか
- 養子と相続税の関係
- 孫養子のメリットとデメリット
- 養子縁組の際に注意するポイント
そもそも養子縁組とは?
養子縁組は、血のつながりがなくても法律上の親子関係を作ることができる制度です。
養子縁組の種類
養子縁組は、2種類あります。
普通養子縁組と特別養子縁組です。
両者の違うところは、生みの親との親子関係が継続するかどうかです。
①普通養子縁組
(法律上、親子関係は2つ)
普通養子縁組の場合、血のつながりのある生みの親との法律上の親子関係は継続したまま、新たな法律上の親子関係を築く制度です。
後継ぎ対策として、娘婿を養子にとったり、孫を養子にとったりするケースでよく使われます。
生みの親との関係・養子縁組による親子関係の2つの親子関係を持つことになります。
(戸籍上は?)
戸籍上の表記はどのようになるでしょうか。
生みの親との戸籍には実子として長男・長女と記載され、新しく養子縁組をした親(養親)との戸籍には、「養子」として表記されます。
②特別養子縁組
(法律上の親子関係は一つ)
特別養子縁組は、普通養子縁組とは異なり、生みの親との関係を断絶し、新たな養親と親子関係を築くものです。
特別養子縁組は、6歳未満の幼い子供にしか認められておらず、身寄りのない子供を救済する意味で設けられている制度です。
(戸籍上は?)
戸籍上の表記も実子と同じように長男・長女として表記されるため、一見養子とはわからないよう配慮がされています。相続税法上でも、特別養子縁組によって養子となった子供は、実の子供とまったく同様に取り扱います。
養子は、相続人になるの? 養子の相続分は?
養子縁組により養子になった子供は、法律上は子供です。実の子供と同じように、養親が亡くなった時には、相続人になります。つまり、養親の相続財産をもらう権利を持つことになります。
この相続財産をもらう権利、つまり相続分は、どれくらいあるのでしょうか?
実の子とまったく同じだけの相続分を持てるのでしょうか?
普通養子、特別養子それぞれの場合で見てみましょう。
【普通養子の場合】
図のように、養親が亡くなった時の相続分は、実の子も養子も全く同じです。
養子だからといって、相続分に違いがあるというわけではないです。
見方を変えて、実の子からしてみたらどうでしょう。
家族に養子を迎えることで、自分の相続分は減ることになります。
また、普通養子の場合は、生みの親が亡くなった時も、相続人となり、相続分は養子に行く前となんら変わりません。
【特別養子の場合】
特別養子の場合も、普通養子同様、養親が亡くなった時の相続分は、実の子と全く変わりません。
また、特別養子は、生みの親との関係を断絶することから、生みの親が亡くなった場合は、相続人とはならず、もちろん相続分も持ちません。
【養子は代襲相続人になれるでしょうか?!】
親が亡くなった時に、子供がすでに死亡している場合は、子供の代わりに孫が相続人になります。これを代襲相続といいます。
では、養子が亡くなった場合は、実の子供と同じように、その孫に代襲相続するのでしょうか?
これは、その孫が「いつ生まれたか」により違います。
養子になるときに既に生まれていた孫であれば、代襲相続権はありません。
養子になった後に生まれた孫であれば、代襲して相続することになります。
図のケースのように、養子が養親より先に亡くなっていた場合、養親の相続の時に相続人になるのは、配偶者と孫Bのみです。孫Aが生まれたのは1995年、その後2000年に養子になっています。養子になる前に生まれているので、代襲相続人にはなりません。
孫Bは2005年に生まれています。養子になった後に生まれているので、代襲相続人になります。
ただし、この代襲相続人については、例外があります。たとえば、養子が娘婿だった場合は、孫Aも代襲相続人になります。娘を通じて、もともと血縁関係があるので、養子縁組の日、生まれた日にかかわらず、代襲相続人となります。
養子縁組と相続税
養子縁組によって、相続税は減るのでしょうか。
答えは、YESの場合も、NOの場合もあります。
【養子縁組によって相続税が減る場合】
養子縁組によって相続税が減る場合は、養子縁組によって相続人の数が増えるときです。
相続人が多ければ多いほど、相続税は減る仕組みになっているからです。
相続人の数がかわると、次の3つことが変わり、相続人が増えるにつれ、相続税は減ることになります。
一つずつ見ていきましょう。
相続税の基礎控除
相続税を計算するときに、相続人の数に応じて定められている「基礎控除」部分には相続税はかかりません。ですので、基礎控除は多ければ多いほど、相続税は減る仕組みになっています。基礎控除は、次の計算式によって求めます。
基礎控除=3000万円+600万×法定相続人の数
3,000万円は誰に対してもみとめられている基礎控除。+αで、相続人が一人増えるごとに600万円ずつ基礎控除が増えていきます。つまり、養子縁組によって相続人の数が増えた場合、基礎控除が一人につき600万円増えることで、相続税を減らす効果があります。
生命保険金の非課税枠
保険金も相続税がかかる財産です。
相続人が保険金をもらうときには、保険金すべてに対して相続税がかかるわけではなく、非課税枠として一定の部分は、相続税がかからない仕組みになっています。
生命保険金の非課税枠は、次のように決められています。
500万円×法定相続人の数
ですので、相続人が一人増えるごとに、500万円の非課税枠がUPします。
退職金の非課税枠
亡くなった後に、亡くなった方に代わって遺族に支払われる退職金も相続税がかかる財産です。
退職金の非課税枠も、保険金の非課税枠と同じように、次の算式により決まっています。
500万円×法定相続人の数
保険金と同様、相続人が一人増えるごとに、500万円の非課税枠がUPします。
以上の3点により、養子により相続人が増えると相続税が減るという仕組み、おわかりいただけたかと思います。
【注意ポイント!相続人の数には制限がある!】
民法上では、養子の数に制限はありません。
養子縁組を10人としたら、基礎控除は10人分増え、生命保険の非課税枠は10人分増え、退職金の非課税枠も10人分増える!そしたら、相続税がかからない!のでは、と考えた方もいるのではないでしょうか。
しかし、相続税を計算するうえでの相続人の数には制限が設けられているため、たとえ養子10人がいたとしても、10人分まるまる基礎控除や非課税枠が増えるわけではないのです。
相続税の計算上、相続人の数に含められる養子の数は、次のように決まっています。
実の子がいる場合は、1人まで。
実の子がいない場合は、2人まで。
※実の子って?
① 血のつながりのある子供
② 配偶者の連れ子(実の子も養子)で、養子となった人
③ 特別養子縁組により養子となった人
④ 代襲相続人
このように、相続税を計算するうえで、相続人の数にカウントする養子の数には制限があるので、ご注意を!
【養子縁組によって、相続税が増える場合】
養子縁組によって、必ずしも、相続人が増えるわけではありません。親族構成によって、養子縁組したことで、かえって相続人が減って、基礎控除が減り相続税が増えるケースもあります。
たとえばこんな場合です。
上の図のように、亡くなったCさんに子供がおらず、親も既に亡くなっており、相続人が兄弟だけの場合です。Cさんが亡くなったとき、養子をとっていないと、相続人は6人、基礎控除は6,000万円です。
このCさんが養子をとるとどうでしょう。
このように、Cさんが養子をとることで、兄弟は相続人でなくなり、相続人の数が減ることがわかります。
養子縁組は、いつでも相続人を増やして相続税が減る効果があるわけではなく、親族構成によって、相続人が減って基礎控除が減り、相続税が増えてしまうこともあります。
よくある孫養子!?メリットと注意点!
孫と養子縁組をすることでの節税になると、耳にされたことがあるかもしれません。
孫を養子にとることは、どんないいことがあるのでしょうか。
また、注意すべきことはなんでしょうか。
ここでは、孫養子が相続税額にどのように影響があるかを中心に見ていきましょう。
【孫養子のメリット】
孫を養子にとると、上で見てきた3つのメリット以外にも、「相続税の代飛ばし」によるメリットがあります
『相続税の代飛ばし効果』
通常、親から子供への相続で1回、子供から孫への相続で1回と、同じ財産に対して合計2回相続税がかかります。
孫を養子にとることで、親から孫への相続で財産を移すので、1回しか相続税がかからないことになります。これが、子供の世代を飛ばす「相続税の代飛ばしの効果」です。
【孫養子のデメリット】
孫養子かそうでないかに関わらず、孫世代に相続財産を渡す場合、子供世代に渡す時と比べて、1.2倍の相続税を払わなければいけません。(孫が代襲相続人となっている場合は除きます。)
これは、「2割加算」という制度によるものです。
「2割加算」とは、亡くなった人の、
・配偶者
・子供(孫養子のぞく)
・親
以外の人が相続財産をもらった場合、相続税額が1.2倍になります。という制度です。
ただし、孫が代襲相続人となっている場合は、2割加算の適用はありません。
孫養子でなく、通常の養子であれば、法律上の子供となり、2割加算の適用はありません。
ただ、代襲相続人でない孫養子の場合は、この2割加算の適用になってしまい、相続税額が2割増しになってしまうのです。
孫養子をお考えであれば、プラス面でもマイナス面でも相続税額に影響があることを理解したうえで行うことが大切です。
また、相続税以外の面でも、注意することがあります。
それは、複数の孫がいる場合、特定の孫が養子となるとき、他の孫や親族の理解は得られているでしょうか。また、もともとの相続人である子供の相続分が減ることについて、相続人全員の理解は得られるかなど、気持ちの面での配慮も大切になってくるかと思います。
おわりに
養子縁組と相続税の関係、ご理解いただけたでしょうか。
養子縁組は、書類の面だけで比較的簡単に手続きできるのですが、親子になるということは、扶養義務を負うことにもなりますし、親族の関係性や気持ちにも配慮し、よく検討する必要があります。
また、亡くなったお父さんに養子なんていない、疑いもなく信じていても、相続したときに初めて戸籍を見て、実は養子がいたとわかるケースがあります。
相続税の申告期限1か月前、相続人は自分だけだと思って安心していたら、実はお父さんには養子がいて分割協議の必要がでてきた。なんてことも。
戸籍をまじまじと見る機会なんて、ほとんどないと思います。相続税の申告をするときには、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍を、一緒に税務署に提出することになっています。
ただ、昔の戸籍は読みづらく、養子の存在を見落とす可能性があります。
相続税を計算するときは、まず戸籍をじっくりみて、法定相続人をしっかり見極めることが必要です。これを怠ると、相続人の数が違っていた!相続税額が違っていた!ということになる可能性もあります。
養子縁組を利用した相続対策は一筋縄ではいかないことが多く、トラブルになってしまうケースも多くあります。
戸籍の読み込みからに相続対策まで、相続案件の実績の多い当事務所におまかせいただければ不安を解消できることと思います。ぜひ気になることがありましたら、当事務所へお声掛けください。
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