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名古屋相続税相談所

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相続の豆知識
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弁護士

相続があって、苦労して相続税申告書を提出し、税金も納めたしもうこれで一安心。と言いたいところですが、まだまだ安心するのは早いですよ!相続税については税務調査が終了しない限りは安心できません。

というのも、税務調査が実施されると高い確率で相続財産の申告漏れが指摘され、多額の追徴税額が課されているという現実があります。特に財産の多い方や、専門家等に相談せず我流で相続対策を行ってこられた方は要注意です。

そこで、今回は相続税の税務調査についてその実態やキーポイントについて解説していきます。税務調査の実態を知ることは対策をする上でも非常に大切なことですから是非ご参考ください。

税務調査の実態~統計データから見えるもの~

国税庁のホームページでは毎年、相続税の税務調査統計が公表されます。平成28事務年度(平成28年7月~平成29年6月に実施)における税務調査の統計をまず見てみましょう。

相続税の税務調査統計

・調査実施件数     12,116件(前年比101.5%)
・申告漏れ等の件数     9,930件(前年比101.7%)
・一件あたり申告漏れ金額  2,720万円(前年比108%)
・一件あたり追徴税額  591万円(前年比121.0%)

参考URL:平成28事務年度における相続税の調査の状況について(国税庁)

 
皆さんのこのデータをご覧になってのご感想はいかがでしょうか。調査実施件数は12,116件ですが、これは全申告件数のおおむね3分の1です。

また、この統計から申告漏れ等の件数がいかに多いかがわかると思います。12,116件調査したうち、9,930件が財産の申告漏れ等の指摘を受けて追徴税額を支払うなど何らかの修正をした件数となります。その割合は約82%、つまり税務調査がいざ実施されると82%の確率で修正等を余儀なくされているという現実があります。

そして1件あたりの申告漏れ金額、追徴税額もそれぞれ2,720万円、591万円と高額となっており、改めて税務調査の厳しさが見て取れるデータとなっています。

税務調査の実施時期

相続税の申告書を提出してすぐに税務調査が実施されることはありません。申告書を提出してから概ね1年半から2年ほど経過した頃に実施されることが多くなります。相続人の方にとってはようやく平穏な日常を取り戻した頃でしょうか。どうしてそのような時期に実施されるのか?理由は2つ考えられます。

まずは遺族への配慮からで、被相続人の死去への悲しみがまだ癒えない間にあわてて税務調査したところで、まともに調査に応じてもらえない可能性があります。よって1周忌を終えないうちから税務調査が実施されることはまずありません。

そしてもう1つの理由、むしろこちらが本音かもしれませんが、税務調査に行くまでに相続税申告書の事前調査を行う期間が必要なためです。

被相続人の財産調査を行い、財産が漏れなく相続財産として計上されているか、相続人の財産も含め入念にチェックが行われます。この事前調査こそが高い確率での申告漏れ等の指摘を可能にしています。

税務職員には「質問検査権」という強力な権限があります。銀行に行けば被相続人だけでなく、その家族の預金情報も入手可能です。よって家族の預金の動きまで丸裸であり、故意に被相続人の財産減らしがないか、配偶者・子供・孫の預金の動きなども確認できます。また被相続人の過去の所得税の申告内容から相続税申告書に財産として計上されている預貯金や有価証券が過小でないかの検討も行われます。

こうしたことから、調査時期は相続税申告書を提出してから概ね1年半~2年を過ぎた頃となるわけです。

税務調査に入られやすい申告とは?

冒頭のデータでご紹介したとおり、実際に税務調査が実施されるのは全申告件数の3分の1程度です。ということは相続税の申告をして2年半ほど経過して税務調査の連絡が無ければ税務署が適正な申告と認めたこととなり、税務調査も行われません。

では調査を行う3分の1に選ばれやすい相続税の申告とは一体どのようなものでしょうか。あくまで一般論ではありますが、参考にできる論点を記載しました。

  • そもそも相続財産が多額である。
  • 相続財産が多種、多額であれば、意図的では無くても財産計上が漏れてしまう可能性が高くなりますので、税務調査の実施確率は高まります。

  • 申告書に税理士の押印がない。
  • 財産内容にもよりますが、相続財産には不動産や株式など、財産金額(相続税評価額といいます)を算出するのに専門的知識を要するものが多くなります。したがって一般の方が自力で申告書を作成した場合、算出を誤る可能性が高くなります。また「こんなものまで相続財産となるの?」というように財産としての認識が甘くなる可能性も高くなるため、財産の計上もれが起こりやすくなります。

  • 相続直前に預金の引き出しが多い。
  • 税務署は被相続人の預金口座の動きは事前に把握してから調査に入ります。亡くなる前1年から3年の間に多額の預金が引き出され、その使途が不明な場合は財産の計上もれの可能性が高くなるため、調査の実施確率が高くなります。

    ちなみに預金の引出しですが使い残しがあれば「現金」として相続財産に計上する必要があります。

  • 相続人等、親族の預金残高が多額。
  • 相続長全の預金の引き出しとも関連しますが、被相続人の死期を予知した相続人等が、被相続人の預金口座から配偶者や子供への預金口座に資金を移し替え、相続財産を圧縮しようとする場合があります。

被相続人の預金が減少し、逆に相続人等の預金がその人の稼ぎ以上に増加していれば相続財産が少なく計上される可能性が高まり、調査確率も高くなります。

なお、こうして作られた相続人等の預金は「名義預金」と言われます。贈与の事実などがないにもかかわらず被相続人の預金であるべきものが相続人等の預金に移されてしまっているもので、税務調査では当然ながら被相続人の財産として計上すべきとの指摘がなされます。

相続税の税務調査で発覚する申告漏れのパターンで最も多いのがこの名義預金です。そしてこの名義預金ですが、預金だけの話ではありません。

例えば被相続人が自分の資金で株式を購入する際、その名義を配偶者や子供にする場合も同様です。預金が株式となっただけですから、その株式も被相続人の財産として申告漏れを指摘されるケースが多くなります。

実際の税務調査の流れ

調査当日まで

いざ税務調査の実施が決まると、税務署から相続人代表(配偶者や長男など)に電話で税務調査を実施したい旨の連絡が入ります。日程調整を経たうえで1日から2日間、基本的には被相続人が生活していた自宅で税務調査が実施されます。

申告を税理士に依頼されている場合はまずは税理士に調査したい旨の連絡が入るため、通常は顧問税理士から税務調査実施の連絡を受けることになります。また調査当日も顧問税理士が立会してくれることが一般的です。

ただ特別調査と言いまして、事前に連絡なく自宅に突然税務職員がやってくることもあります。先ほどの「税務調査に入られやすい申告」に該当し、相続財産の計上があまりにも少ないと税務署が見込んだ場合は、調査の連絡をして事前に準備がなされることを防ぐためにこのような方法をとるケースもあります。

調査当日の様子、質問内容など

午前10時頃、自宅へ税務職員がやってきます。多くは2人など複数で来ます。理由としては質問する人と記録する人を分けるため、また納税者と後で「言った、言わない」などの事態を避けるためです。

具体的には午前中を中心に以下のようなことが聞かれます。世間話風な聞き方でも、全て財産が適正に計上されているかのヒントを探っています。

被相続人の生前の病状など

比較的急に亡くなったのか、長い闘病生活を経て亡くなったのかなど。特に、寝たきりだったのか、亡くなる前に意識があったか否かの確認はされます。

相続対策として生前贈与があったと相続人が主張しても財産をあげる人が自己判断のつかない状況であるならば贈与の成立そのものが危ぶまれ、相続財産の過小計上につながるためです。

被相続人の経歴・居住地の変遷

輝かしい経歴にもかかわらず相続財産が少ない場合は、その理由が問われることとなります。また過去に住んでいた地域で預貯金や不動産の有無を探るため過去の住所の場所などが聞かれることもあります。

被相続人の性格・趣味

相続財産の計上漏れがないかどうかを探るために被相続人の性格や趣味などが聞かれます。

被相続人の性格と生前の所得税申告を照らし合わせることでより具体的な調査を行うためです。堅実な人か派手な人か。それにより残される財産にも差が出るのは当然ですよね。

また趣味についても聞かれます。ゴルフ好きな被相続人ならゴルフ会員権があるかどうか、美術が好きなら書画や骨董品が遺産として残されている可能性があるためです。

配偶者や子供の財産状況や収入状況

実際の税務調査前に、税務署は配偶者や子供の預貯金や証券口座の有無や残高について既にある程度調査済みであることは述べましたが、やはり念には念をいれてこの類の質問はされます。

専業主婦であるはずの配偶者が多額の預貯金を持っているとなれば、過去にその配偶者が相続で財産を引き継いでいない限り、名義財産の可能性が高まります。

したがって配偶者や子供の財産と収入状況に矛盾がないかを確認するためこのようなことが聞かれます。

家においてあるものを一通り物色

なぜ税務調査は被相続人の居宅でされるのか?それは家の中に財産漏れを探るヒントが多く隠されているからです。高級な絵画や掛軸、時計や貴金属などの有無はもちろんのこと、金融機関のカレンダーや粗品がないかなど一通り家の中を見回します。

「○○銀行」と書かれたカレンダーや粗品があればその金融機関と取引があることが一目瞭然で、相続財産としてそれらの金融機関の計上があるかどうかがチェックされます。倉庫・物置の中もお宝が眠っていないか調べられます。

被相続人が使用していた印鑑

家の中にある印鑑は全て出すように要求されます。そして印影の確認をしていきます。白紙の紙に次々と印鑑を押していきます。1回目は朱肉をつけず押し、最近の使用の有無を確認します。2回目は朱肉をつけ、印影の確認をします。

またまた名義預金の話ですが、相続財産に計上していなかった配偶者名義の預金があったとして、口座の届出印と被相続人がいつも銀行印として使用していた印鑑が同じであれば、「これは被相続人さんが作られた預金口座ですよね?」となります。
「印鑑が同じ=財産の所有者も同じ」が日本における一般的な考え方ですから、財産の実質的な所有者を判断する上で印鑑は決定的な判断材料となります。生前贈与で預金口座を作るときには、印鑑にはご注意ください。

さいごに

今回は長々と税務調査のデータの紹介から実際の調査現場についても簡単にですが触れてきました。まだまだ伝え切れていない部分も多いですが、こうした実態を意識して相続税の申告を行うことができれば税務調査においても慌てることなく対応できるのではと思います。

より具体的な対策をお考えの方はぜひ、当事務所にご相談ください。相続税の税務調査の初回無料相談実施中です。

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