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名古屋相続税相談所

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相続の豆知識
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相続

通常、被相続人が亡くなった場合には、その亡くなった日から10月以内に相続税の申告書をその被相続人が亡くなった当時の住所地の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

10月以内と考えると法人税・消費税の2月以内、所得税の翌年3月15日までの申告期限と比べれば長いように感じますが、必要な資料をそろえたりすると意外とあっという間に期限を迎えてしまいます。
今回は、相続税の課税対象となる方、申告期限について詳しく見ていきたいと思います。

財産を相続する権利を有する人

被相続人が亡くなった場合、その被相続人から財産を取得することができる者というのは大きく分けて二通りいます。

一つ目は相続により財産を取得した者(以下、「相続人」といいます。)
二つ目は遺贈により取得した者(以下、「受遺者」といいます。)
以上になります。

一つ目の相続人とは、民法に定めに応じて、被相続人から財産を取得した人をいいます。
具体的な相続順位・相続分については、配偶者が存命の場合、配偶者は常に相続人となり、第一順位の子がいる場合には、双方1/2ずつ、第二順位の直系尊属(親等)の場合には、配偶者が2/3、直系尊属が1/3、第三順位の兄弟姉妹の場合には配偶者が3/4、兄弟姉妹は1/4となっています。

配偶者がすでに亡くなっている場合は、上記の順位の通り、相続権が移動していきます。

次に受遺者とは、相続人であるか、ないかに関わらず、遺言等により被相続人から財産を取得する人をいいます。

相続税の課税対象者

上述の通り、被相続人が亡くなり、その相続財産(被相続人の現預金・有価証券・土地建物、その他被相続人の名義である全ての資産)を相続する権利を有する者は相続人及び受遺者となります。
これらの者は相続税の申告・納付をする義務が生じます。

しかし、H28年中(H28年1月1日~H28年12月31日)に亡くなられた方から相続又は遺贈による財産を取得した者のうち、実際に相続税の申告書を提出した方は全体の約8.1%となっております。

申告し忘れた人がそんなにいるのか、とお思いの方もいらっしゃると思いますが、これは相続税には基礎控除というものがあって、被相続人が所持していた財産の価額の合計額がこの基礎控除以内であれば申告をする必要がないためです。
またこの基礎控除の金額はH27年の税制改正で引き下げが行われており、引き下げ前の申告の提出割合は4.4%程しかいませんでした。

基礎控除の金額

では、この基礎控除というものは一体いくらなのでしょうか?

答えは「3,000万円+法定相続人の数×600万円」となっております。

算式だけだと少し分かり辛いので具体的に示すと、父母、子2人の家族でお父さんが亡くなったとします。
そうすると法定相続人の数は3人となるので、基礎控除の額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。

つまり、被相続人から相続又は遺贈により取得した財産の合計額が4,800万円以下であれば、相続税の申告をする必要はない、ということになります。
なお、養子縁組を利用し、養子となった者については、例外を除き、原則的に一人までは法定相続人とみなされます。

相続財産の種類

続いて相続財産の種類について説明します。

相続財産には、大きく分けて二つ種類があります。

一つ目は現預金等の積極財産と言われるもの、二つ目は、借金等の消極財産と言われるものになります。

当たり前と言えば当たり前なのですが、被相続人から財産をする権利を有する人は借金等の債務を相続する義務も存在します。

よって、積極財産から消極財産を控除した残額が基礎控除以下であれば、この場合も相続税の申告・納付をする義務は生じないこととなります。

なお、積極財産の中にはみなし相続財産と呼ばれる財産も存在します。
具体的には、被相続人の死亡を保険事由として、支払われる生命保険、被相続人が会社に勤めていた場合の死亡退職金の二つが代表的なものです。

このうち生命保険については、誰が掛金を負担していたのか、誰が生命保険を取得するのかも重要になってきます。

被相続人が自ら掛金の支払いをしていて、自分の死亡に伴い、相続人のだれかに生命保険が入るのであれば、みなし相続財産に該当しますが、別の第三者が掛金を支払っていて被相続人の死亡に基因して相続人のだれかに保険が入ったのであれば、それは相続財産ではなく、掛金を支払った人から生命保険を取得した人への贈与となり、贈与税が課されることとなり、生命保険を取得した人と、掛金を支払っていた人が同一であれば、それは所得税の課税対象に含まれる可能性もあります。

さらに、生命保険・死亡退職金のは、個別で控除規定が存在しており、生命保険については500万円×法定相続人の数、死亡退職金についても500万円×法定相続人の数を控除した残額が相続財産に含まれることになります。

なお葬式費用についても、積極財産から控除しても良い、というものになりますのでお葬式の際の領収書等は捨てずにしっかりと保管しておくのが賢明です。

以上のことをまとめて簡単に説明すると
現預金等の積極財産から消極財産及び葬式費用を控除した残額が、基礎控除を超える者について、相続税の申告・納付をする義務を有することとなります。

補足として、相続時精算課税制度を適用し、生前贈与された財産や、被相続人の亡くなる前3年以内に贈与され、暦年課税された財産についても、積極財産に含まれることとなります。

被相続人の死亡から申告期限までにやるべきこと

上記により相続税の納税義務を有することとなった者については、一番初めに書いた通り、相続開始後10月以内に相続税の申告・納付をしなければなりません。

会社を経営してた人や個人事業を営んでいた人は税理士等が身近だと思うので、相談すれば何をどうすれば良いかの指示を貰うことは、とても簡単だと思います。

しかし、勤め人や退職後に老後を過ごしていた人からすれば、何をどうすれば良いのか見当もつかないことが多いでしょうし、ただでさえ身内が亡くなって葬式やらでバタバタしていて相続税のことなんてほとんど頭にない人もいらっしゃると思います。

そこで、次に死亡から申告期限までに何をすれば良いのか?それを時系列順に見ていきたいと思います。

葬儀について

人が亡くなった場合には、まず関係者への連絡、お葬式の段取りをするのが、当然だと思います。
そして通夜・葬儀・初七日法要の順にこなしていくかと思います。

注意点:このとき通夜・葬儀の際に参列者の方から頂く、香典については相続税・贈与税の対象には一切なりません。
よって香典返しに要した費用も葬式費用として相続財産から控除できないものとなりますのでご注意下さい。

相続の放棄又は限定承認の期限

被相続人の財産を相続するのか、それともその権利を放棄するのか、又は限定承認するのかの期限は、相続開始後3か月以内となっております。
ここで限定承認とはどういうものなのか説明致します。

限定承認とは、「相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して」相続の承認をすることを言います。

つまり、相続財産の範囲内で相続負債を支払い、なお余剰があるのであれば、その財産を承継することができるという制度です。
相続財産の範囲内で相続債務を払えばよいので、相続財産より相続債務の方が大きい場合、支払いきれない部分について相続人が責任を負うことはなくなります。

所得税の準確定申告と納付

全くの無職でほとんど収入がない等の人を除き、被相続人も生前はなんらかの形で収入を得ていたことが推測されます。

通常、所得税は暦年課税で翌年の3月15日を申告期限としていますが、亡くなられた場合にはその死亡日以後4か月以内に所得税の準確定申告を行う義務があります。

なお、ここで支払った所得税等についても被相続人の債務として、相続財産の債務控除の対象となります。

相続税申告に際して

準確定申告が必要だった場合はその後、不必要だった場合には相続の承認後、いよいよ相続税の申告を進めていくことになります。

被相続人の性格にもよりますが、相続財産をあらかじめきちんと整理している方、というのはそこまで多くはないと思いますので、まずは、遺産や債務の調査から進めます。
現預金については、金融機関に確認すれば、死亡日時点での残高の把握をすることができ、建物や土地については、役所の税務課、法務局に確認が必要となります。

また、被相続人が会社を経営していて、自社の株式を有している場合には、その株式も相続財産となります。
そして被相続人の財産の洗い出しが終わったら、その財産の価額を決めていくこととなります。

現預金であれば、その残高が評価額となるので、評価といっても特にすることはないのですが、土地や建物の不動産、非上場株等の取引相場のない会社の株式については、評価に時間を有することもありますので余裕をもって税理士等に相談するようにしましょう。

基本的には遺産の整理が終わったら財産の評価・申告までは一括して税理士事務所に頼むことになると思います。

財産評価については、それ一つで何百ページにもなる規定に則って評価をすることになりますし、相続税の申告書についても提出する際は、申告書が10枚以上になることが当たり前です。

多少、お金はかかりますが、後々のリスク(税務調査が入って申告漏れ等が見つかる)のことを考えると、専門家に依頼するのが一番、安心・安全かと思います。

税理士事務所に依頼する際は、それまで集めた資料を一通り持ち込んで、いつ亡くなったのか、財産はいくらくらいになりそうか等を話せば、後は、その事務所の指示に従ってもらうだけで問題ありません。
そして申告期限までに申告・納付が終われば、あとは不動産や預貯金等の名義変更を行い相続終了となります。

その他の事項

相続申告の際には、配偶者であれば1億6千万円か相続財産の総額の半分かのいずれか低い金額以内の相続であれば、相続税がかからなくなったり、生前贈与を受けていて、その際に贈与税を払っていれば、その分は、相続税から控除することができる等の控除規定が6つほど存在します。

しかし、それらの控除規定は全て申告を要件としており、また規定の内容も専門的で理解をするのはなかなか厳しいものです。

よって、大雑把に見積もって財産の総額が基礎控除を超えそうだな、と感じたらすぐに税理士事務所に依頼するのが賢明です。

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