対応エリア:
愛知岐阜三重
エリア:
愛知岐阜三重
「遺産として財産を残すなら、少しでもたくさん家族の手に渡るようにしておきたい。アパートを持っていると相続税が安くなるって本当?」
「不動産投資をすると相続税が安くなるらしいけれど、経験のない人間がいきなりアパート経営なんて初めて本当に大丈夫?もし借金が残ったらどうなる?」
自己所有の土地などにアパートを立てて住んだり、他人に貸したりする方法は、相続税対策としてポピュラーな方法といえます(土地は新たに購入しても問題ありません)
ただし、アパート経営にはリスクがつきものであることも理解しておきましょう。
アパートの経営そのものがうまくいかないと「相続税は安くなったけれど、結局家族が受け取る遺産が少なくなってしまった」という本末転倒な事態にもなりかねません。
この記事では、アパート建築(不動産投資)が相続税対策となる理由について解説するとともに、アパート経営を始める人が知っておくべきリスクについて解説いたします。
近い将来に生じる遺産相続に向けて準備を進めている方は、ぜひ参考にしてみてください。
アパート建築が相続税の節税につながる理由
アパート建築が相続税の節税につながる理由として、以下の3つのことがあげられます。
- ①遺産は現金よりも不動産として遺した方が相続税の負担が小さくなる
- ②他人に貸している土地は「貸家建付地」として相続税評価額が下がる
- ③借金をして建物を建てた場合、その借金は遺産総額から差し引きできる
- ④相続税の特例措置(小規模宅地等の特例)を利用できる
言葉だけを見ると難しく感じるかもしれませんが、理屈はそれほど難しいことではありません。
アパート建築が相続税の節税対策となるそれぞれの理由について、順番に見ていきましょう。
①遺産は現金よりも不動産として遺した方が相続税の負担が小さくなる
相続税の計算上、土地や建物といった不動産は、現金や銀行預金などよりも相続税負担が小さくなる仕組みになっています。
そのため、遺産となる現預金が多額にあるという方は、そのまま現預金として財産を残すより、不動産を購入しておいた方が相続税の負担が小さくなる傾向があるのです。
土地や建物の相続税評価額の計算方法は、具体的には以下のようになります。
土地の相続税評価額
都市部にある土地は「路線価」・地方にある土地は「倍率方式」という方法によって計算します。
路線価は国税庁が決めている土地の値段で、倍率方式で用いる「固定資産税評価額」は市区町村が決めている土地の値段です。
これらの計算方法によって財産を評価した場合、時価(取引相場)のおよそ8割程度の金額になります。
(倍率方式では、時価の7割程度となる「固定資産税評価額」に1.1倍の「倍率」をかけて評価額を計算します。結論的に時価の8割程度になります)
建物の相続税評価額
建物は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
固定資産税評価額は、3年に1回改訂されますが、時価のおよそ7割程度の金額となります。
このように、土地や建物は現金と比較して「相続税を計算する際の評価額」が下がる傾向にあります。
そのため、遺産は現預金の形にしておくよりも、不動産の形にしておく方が相続税の計算上はお得というわけです。
②他人に貸している土地は「貸家建付地」として相続税評価額が下がる
土地の評価額は、上でも見たように路線価方式や倍率方式によって計算します。
例えば、1㎡あたり路線価40万円の土地が100㎡あるという場合、その土地は4,000万円の価値があるものとして相続税が課税されるといった具合です。
このとき、土地を他人に貸している場合には、上の金額に「借地権割合」や「借家権割合」というものをかけ算して、相続税評価額を計算することになります(必然的に評価額が下がります)
このように、他人のために設定されている借地権や借家権がある土地のことを「貸家建付地」と呼び、貸家建付地である土地の相続税評価額は、以下の計算式で算出します。
貸家建付地である土地の相続税評価額=もともとの土地の価値×(1-借地権割合×借家権割合)
例えば、あなたの土地4,000万円の借地権割合が60%・借家権割合が30%だったとすると、この土地の相続税評価額は、4000万円×(100%-60%×30%)=3,280万円ということになります。
③借金をして建物を建てた場合、その借金は遺産総額から差し引きできる
アパートを建てるために借金をした場合、その借金は相続税の計算上、遺産の総額から差し引きしてもらうことができます。
例えば、アパートを含む遺産の総額が1億円で、借金が6000万円あったとしたら、相続税は差し引きした4000万円(1億円-6000万円)に対して課税されることになります。
必然的に相続税の金額は小さくなりますが、借金であることには変わりありませんから、アパート経営から得られる収益で、毎月の借金返済額をカバーできていることが大前提であることは理解しておきましょう。
④相続税の特例措置(小規模宅地等の特例)を利用できる
アパートなどの宅地(住宅を建てるために使う土地)が遺産に含まれる場合、「小規模宅地等の特例」という、相続税計算上の優遇措置を受けることができます。
小規模宅地等の特例は、最大で80%の遺産評価減を受けることができる、相続税対策として非常に効果の高い方法といえます。
例えば、1億円の土地を相続税の計算上は「2,000万円の財産」として評価してもらうことができます。
相続税の金額は遺産の評価額に税率をかけて計算しますから、遺産の評価額が下がった分だけ相続税の金額も安くなるのです。
3種類の「宅地」
小規模宅地等の特例を適用してもらう場合、遺産となる宅地を以下の3つの種類に分類し、それぞれ相続税評価額の減額幅を計算することになります。
- ①自分や家族が住む家を建てるための土地:限度面積330㎡で最大80%減額
- ②事業用店舗や事務所を建てるための土地:限度面積400㎡で最大80%減額
- ③不動産投資用の住宅を建てるための土地:限度面積200㎡で最大50%減額
例えば、自分や家族が住むための家を建てるために土地を使っていた場合(①)で、土地の評価額が1億円、面積が500㎡だったとしましょう。
この場合、500㎡のうち330㎡までは80%減額してもらえますから、土地の相続税評価額は以下のように計算できます。
1億円-(1億円×330㎡÷500㎡×80%)=4720万円
小規模宅地等の特例を利用することによって、本来1億円の価値がる土地を、4720万円として相続税を計算することが可能となります。
なお、自営業者の方などで①と②の両方があるというような場合には、これらを合算して合計730㎡を限度面積として土地の相続税評価減を受けることが可能です。
小規模宅地等の特例を利用する条件
小規模宅地等の特例を利用するためには、以下のような条件を満たす必要があります。
- ①亡くなった人や家族が実際に住んだり、事業用に使っていたりしていた宅地であること
- ②土地は住宅や駐車場などの構築物を建てるために使っていたこと(青空駐車場は不可)
- ③相続税申告時に遺産分割協議が完了していること
- ④事業用の土地であった場合は、相続税申告時まで相続人が事業を引き継いでいること
実際に小規模宅地等の特例を利用できるかどうかは、具体的なケースによって判断が微妙になることもありますから、遺産相続に関する実務経験が豊富な税理士に相談するようにしましょう。
アパート建築で相続税対策を行う場合の注意点
ここまで、アパート建築が相続税の負担額を減らす効果があることを説明してきましたが、「遺産にかかる相続税が安くなるかどうか」と、「不動産投資として行うアパート経営がうまくいくかどうか」はまったく別の問題として考える必要があることを理解しておきましょう。
そもそもアパート経営とはどういうものか
アパート経営は、いうまでもなくお金を投資して不動産を購入し、その不動産を他人に貸して家賃収入を得るというものです。
購入したアパートを貸家として利用できる期間をかけて、投資した金額すべてを回収できなければ、その投資は失敗だったということになります。
また、借金をしてアパートを建てるという場合には、その借金の毎月の返済額を家賃収入でまかなえないと、資金繰りがうまくいかずかえって生活が苦しくなる…ということも考えられます。
相続が発生した段階で借金が残っている場合には、遺産の相続人となる人がその借金の支払い義務についても引き継ぐ必要があることも理解しておきましょう。
さらに、アパートなどの不動産の形で財産を残す場合には、その遺産を誰が所有者として引き継ぐのか(遺産分割をどうするのか)ということまで考えておく必要があります。
相続税対策としてアパートを建てるなら、不動産投資についても学ぶ必要がある
アパート経営を成功させるためには、キャッシュフローや物件評価の方法などさまざまなことを勉強する必要がありますので、「相続税が安くなるから」と安易にアパートを建ててしまうことは避けなくてはなりません。
アパート経営を成功させる方法については専門のコンサルタントなどがいますから、状況に応じて相談を検討してみましょう。
まとめ
今回は、アパート建築によって相続税の負担額を減らす方法について解説いたしました。
遺産をアパートの形で持っていると相続税計算上の優遇措置を受けることができますが、これから新たに不動産投資(アパート経営)を始めるという場合には、不動産投資そのものに内在するリスクに注意が必要です。
本文でも見たように、家賃収入から毎月の借金返済その他の経費を差し引きして、黒字になって初めてアパート経営を行う意味があります。
また、相続人となる親族が多くいるケースでは、一般的に分割が難しくなる不動産を、どのような形で相続させるのかということまで検討しておく必要があるでしょう。
どのような相続税対策の方法が適切かは、あなたの現在の状況や希望する遺産相続のかたちによって変わります。
これから遺産相続の準備を始めるという方は、遺産相続に関する実務にくわしい専門家(税理士や弁護士)への相談を検討してみてください。
この記事をシェアする
こんな記事も読まれています
-
記事はありません