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名古屋相続税相談所

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相続の豆知識
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シニア

【Q】寄せられた質問(一例)

はじめまして。私は不動産賃貸業を営んでいる72歳の男性です。家族は、妻・長男一家・次男一家・長女です。息子2人は既に所帯を持ち別々に暮らしていますが、妻と長女は私と同居しています。主な財産は自宅、貸アパートと貸駐車場を複数ずつ、あとはわずかばかりの預金です。

70歳を過ぎ、このところ相続対策を色々と考えるようになりました。

家族に残す相続税の納税資金を準備したり、相続税を低くする対策などを行わなくてはならないということは私の父が亡くなった時の経験から理解していますが、この他に遺言を書いておくと良いと聞きました。
しかし、私は遺言を書かなければならないほど老いているつもりはなく縁起も悪いと思いますので、迷っているのが正直なところです。

もし遺言を書いておくメリットがあれば、教えてもらえますか?また、もし遺言を書くのであればどのような書き方が良いのかということも、併せて教えてください。

【A】回答

相続対策で最も重要なのは、ご相談者様が亡くなった後にご遺族が何も争いごともなく円満に遺産を分けることにしておくことであり、これがご遺族に対する最大の思いやりでもあります。

その最良の対策が、ご相談者様がご家族や財産の状況を踏まえたうえで、生前に遺言を書いておくことです。

遺言は、
①相続割合や分割方法の指定など相続に関すること
②財産の遺贈または寄付などの財産の処分に関すること
③遺言執行者(遺言の内容を実現することを託された人)の指定
について、強い法的効力を持ちます。

したがって、ご相談者様が亡くなった後たとえ相続人の一部が遺言の内容に反対したとしても基本的にご相談者様のご意志通りに円満に遺産を分けることが可能です。

ご質問文を拝見する限り、特にご相談者様は確実に遺言を残しておくことをお勧めします。これは遺されたご家族にも大きなメリットがあります。

その理由はご相談者様は不動産賃貸業を営まれていることから、全財産に占める不動産の割合は相当に高いものと推測するためです。

預金のような金融資産と異なり、不動産は同じものは二つとしてなく非常に個別性が強い性質を持つ資産であり、このため相続人の間で平等に分けにくい資産です。

このため、法定相続割合で分ける・分けないに関わらず誰が何を相続するかを巡って相続人の間で争いになりやすく、特にご相談者様のようにいくつも不動産をお持ちで相続人も複数名以上いる場合は、なおさらです。

この点、ご相談者様が生前に不動産Aはご長男様、不動産Bは次男様、というような形で遺言書に指定しておけば、相続人全員の納得感を得られ争いごとも起きなくなるでしょう。

特にご長女様はご相談者様ご夫妻と同居されているとのことですが、もしご相談者様が亡くなられた後に奥様の介護等を託したいとお考えであれば、ご自宅をご長女様に相続させる内容とすることも一案です。

また、ご相談者様が法定相続割合と異なる割合で遺産を分けたい場合、あるいはお孫様のように法定相続人ではない人に遺産の一部を残したい場合は、ご相談者様の遺言がない場合はご相談者様が亡くなったあとに相続人全員が同意しない限り不可能です。

これが見込にくいとお考えであれば、ご相談者様のご意志を実現するために遺言を書いておく必要があるのです。

ご相談者様はまだ遺言を書くのは早い、縁起でもないとお考えのようですが、遺言は可能な限りご相談者様が元気なうちに書いておくことが望ましいといえます。

遺言は遺書と違いますので、亡くなる直前の弱った状態で書くよりも肉体的・精神的に元気な時期に書いておく方が、それだけ財産やご家族の実態を把握したうえで亡くなった後のことを考慮した実効性のある遺言を作成することができます。

また、遺言は保険と同じで今が元気だとしても万一何かあった際の相続に関する備えのようなものでもあり、縁起が悪いものでは決してありません。

もちろん、ご相談者様は遺言を書いた後でも財産は自由に使え、不動産であれば売却や買い換えることも可能です。当初書いた遺言に記載した財産構成に変化が生じた場合は書き直せば良いだけであり、遺言の書き直しは何度でも可能です。

もし遺言を書き直した場合、それまでの遺言はご相談者様が撤回したものとして扱われます。

また、ご相談者様が亡くなった後に相続人が書き換え前の古い遺言と書き換え後の新しい遺言を見つけた場合、それぞれが法的に有効な遺言であれば日付が新しい遺言が優先されますので、相続人が混乱してしまうこともありません。

続きまして、遺言全般について少し詳しくご説明します。
遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言など、いくつかの種類があります。このうち、もっとも多く利用されているのは自筆証書遺言と公正証書遺言です。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言する人が自分自身で遺言内容全文・日付・署名を全て自筆で記載し押印して作成する遺言で、費用はかからず誰にも知られずに作成することができます。

しかし、自筆で書いているだけに過ぎないことから常に遺言の改竄や紛失、盗難に遭うリスクがあります。

また、ご相談者様が亡くなった後、遺言書を保管していた人または見つけた人は、開封せずそのまま家庭裁判所に持ち込み、後日法定相続人立会いのもとで遺言書の内容を確認する「検認」という手続きを経る必要があります。

これは遺言書の改竄などが為されないようにするためのものであり、ただちに遺言が有効であると認めるものではありません。

しかし、もし違反して家庭裁判所の検認を受ける前に遺言書を開封した人には民法第1005条の規定により5万円以下の科料に書されることがあります。

民法第1005条

(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

この他、基本的に専門家の意見を聞きながら作成するケースは少ないため、法律が定める方式の不備により遺言そのものが無効となってしまうことがあります。

公正証書遺言

これに対して公正証書遺言は、公証役場において2人以上の証人の立ち会いのもと、文書の作成や認証において公権力を持つ公証人が遺言者の遺言を筆記し、最後に遺言者・立ち会いの証人・公証人が署名押印することで作成されます。

そして、作成された遺言は公証役場で保管されます。自筆証書遺言と異なり公正証書遺言はその作成に費用と手間がかかりますが、遺言の改竄や紛失・盗難を防ぐうえでは最も確実ですし、公証人という専門家が作成していることから基本的に様式の不備により無効となることはありません。

また、公正証書であるため記載内容に証拠力が高いことから検認手続きが不要とされているため、相続人はすぐに遺言の内容を確認して実行に移ることが可能です。

したがって、遺されたご家族のことを考慮すれば、多少の手間と費用が生じたとしても公正証書遺言のほうが良いでしょう。

ここで遺言書の書き方について、いくつか注意して頂きたい点を述べます。
まず、各相続人の遺留分を侵害する内容としないことです。

遺留分とは、亡くなった方の遺志やその他の状況によらず、例えば配偶者であれば4分の1など民法により保証されている相続人の最低限の取り分です。

遺言により遺留分を侵害された人は、遺言の内容に関係なく侵害した人に対し家庭裁判所を通じて遺留分相当の支払いを請求する「遺留分減殺請求」を行う権利を有します。

せっかく相続人どうしで争いごとが起きないように遺言を書いたつもりでも、ご相談者様が遺言書に書いた内容が原因で争いごとに陥ってしまっては、元も子もありません。

また、「その他の財産」の項目を設け、それを誰が相続するのかなどの取り扱いについて記載することを忘れないようにしてください。

「その他の財産」とは、一般的に衣服や食器のような日用品など財産としての価値が低く、また特定して遺言書に記載することが難しく、かつ重要性もないことから遺言者が遺言書に記載する必要がないと判断した財産のことを指します。

また、「その他の財産」には財産価値や重要性が高いにも関わらず、遺言書に書き忘れてしまった資産も含まれるとするのが一般的です。

もしご相談者様が遺言書に記載することを忘れてしまった財産があったとしても、それは「その他の財産」として遺言書で指定された人が受け取ることになります。

そのため、先述した遺留分侵害にならない限り、遺言書に記載されていない財産を誰が受け取るのか相続人の間で議論になることは避けることができます。

併せて、遺言の執行者を指定しておくことをお勧めします。

遺言執行者

遺言執行者とは先述のとおり亡くなった人に代わって遺言の内容を忠実に実行することを託された人で、あらかじめ遺言で指定しておくことができます。遺言執行者には、法定相続人もなることが可能です。

なお、遺言執行者は必ずしも指定することを義務付けられているわけではありませんが、多くの相続人でバラバラに手続きを行うよりも一人が集中して行った方が、結果的に迅速に完了する場合が多いものです。

しかしながら、遺言の執行者はさまざまな手続きをしなければなりません。特に役所や金融機関が関係する手続きは平日しかできないものが多く、平日は仕事をしているお子様には大変な負担となります。

だからといって高齢の配偶者の方を遺言の執行者に指定することも、数多くの手続きに要する労力を考慮すると好ましいとは言えないでしょう。

特にご相談者様の財産は不動産が多いと推測することから、なおさらです。

したがって、遺言執行者を指定する場合は、遺されたご家族の負担を考慮し税理士や司法書士などの専門家に依頼することも選択肢の一つです。

以上、遺言を書くメリットと留意点につきお伝えいたしました。

最後に

最後に、遺言を書く決意が固まりましたら相続の専門家のアドバイスを得ながら作成することを強くお勧めします。
遺言を含む相続全般に関する専門的な知識が無いまま自筆証書遺言のように独りよがりで作成すると、何らかの間違いが発生し最悪の場合は遺言書そのものが無効となる可能性があります。

また、特に税理士であれば財産の分割方法について相続税対策を踏まえたアドバイスを得ることも期待できます。もちろん、ご家族で話し合ってみるのもよいでしょう。

遺言に書かれた内容は、ご相談者様の人生の集大成と言っても過言ではありません。遺言を書くメリットをご理解いただけましたら、ご相談者様が亡くなった後もご家族全員が円満に相続できる遺言を書いていただくことを願ってやみません。

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